作物保護の目的・
農薬がなければ
作物保護の目的・
SDGsとの関連付け
国連食糧農業機関(FAO)は、2020~2021年に「国際植物防疫年2020」を実施しました。世界の食用作物の最大40%が害虫、病害、雑草によって失われ、何百万人もの人々が飢餓に直面しています。そのため、作物を害虫、病害、雑草から守るための政策の促進と行動を呼びかけています。
作物を害虫、病害、雑草の外敵から守るためには、化学農薬による化学的防除、生物農薬(害虫の天敵昆虫や微生物等)による生物的防除、抵抗性品種の利用や栽培方法の工夫による耕種的防除、あるいは防虫ネットの利用や太陽光による土壌消毒などによる物理的防除など、さまざまな方法があります。作物の栽培方法や病害虫の発生状況に応じて、最適な防除方法が選ばれることになりますが、化学農薬も重要な防除手段の一つです。
近年では、越境性害虫が猛威を振るい、東アフリカのサバクトビバッタ、アフリカからアジアにかけてのツマジロクサヨトウ、日本ではトビイロウンカによる被害が報告されています。さらに、2020年初頭以降の新型コロナウイルス感染症パンデミックは、気候変動による洪水や干ばつ、病害虫などの既存の危機と相まって複合的な脅威となり、フードシステムを逼迫させ、世界中の食料不安の引き金を引いているため、FAOは対策を呼びかけています。
農薬がなければ、生産者は作物を守る有用な手段を失います。
世界では、作物は1万種以上の害虫から被害を受け、雑草から保護しなければ収量は34%減少し、病害により1.25億トン、6億人分の食料損失があります。

FACT SHEET: BETTER LABELLING TO ENHANCE RESISTANCE MANAGEMENT CropLife INTERNATIONAL
1) Environmental Deterioration and Human Health (2014), p99. 2) Jortnal of Agricultural Science (2006) 144,31-43.
3) Nature Vol. 484 12 April (2012).
温暖湿潤な日本では、病害虫・雑草からいかに作物を守るかが重要になります。
日本の気候はアジアモンスーン型であり、農業は病害虫や雑草との戦いといわれています。農薬がなければ、生産者は作物を守る有効な手段を失うことになります。


「農薬を使用しないで栽培した場合の病害虫等の被害に関する調査報告」(1990年~2006年日本植物防疫協会)
食料を取り巻く状況には、食料安全保障、気候変動、生物多様性など、世界で最も差し迫った課題があります。これらの課題に対応するためには、土壌を重要な資産として捉える考え方があります。健全な土壌は、食品の栄養価を高め、毎年数十億トンの二酸化炭素相当を貯蔵し、主要な炭素貯蔵庫および水調節器として機能すると言われています。作物を病害虫や雑草から守り、さらに土壌の健全性を改善して持続可能な農業を実現していくことがこれから必要です。
SDGsと当会活動の関連
2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」には、環境や健康、人権などに関する社会課題を解決する17の目標があります。当会の活動がSDGsのどの目標に関連しているかを示すマッピングを行いました。


農薬を使用した場合としない場合


Source: D.T. Avery, US-Hudson Institute - FAO
Integrating Science and Technology into Development Policies, An International Perspective(OECD Publishing)、
p87 図 Expansion of Farmland hardly possible を改変
米づくりに必要な除草時間の推移


出典:農林水産省「農作物生産費統計」
かび毒からのリスクの軽減

