食料安全保障への対応

増え続ける世界の人口

「生きることは食べること」、そして食べるために生産しなければなりません。
世界の人口は、1960年の時点では約30億人でしたが、2023年現在で80億人以上に増えています。60年あまりの間に2.5倍以上に増加し、今後もさらに増え続けることが予想されています。それにともなって、人々が生きていくために必要な食料も増えると考えられます。
増加する人口に対応し、単位面積当たりの収量を増やすために、作物を守らなければなりません。

出典:総務省統計局 https://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.html

食料生産量の変遷

世界の人口が増え続けるのに対して、食料の中心となる穀物がとれる土地の面積(収穫面積)は、1960年から2020年の間に約13%増えているだけです。しかし、穀物の生産量は3倍以上に増えています。つまり、同じ面積でとれる穀物の量(単収)が増えていることになります。それは、農業機械、品種改良、作物を育てるための肥料、病害虫や雑草から作物を守るための農薬などの農業技術の進歩のおかげです。

これからも世界の人口は増え続けると予想されますが、穀物を育てる土地を増やすことは難しいと考えられます。そのため、同じ面積の土地でとれる作物の量を増やす必要があり、作物を守ることが求められます。

JCPA VISION 2025(2014年公表)

当会は、国連で採択されたSDGsとも関連付けながら、農業への産業としての貢献を掲げたビジョン活動「JCPA VISION 2025」を推進し、植物病害虫や雑草による被害を防ぐ作物保護を通じて食料の安定供給に貢献するとともに、作物保護の重要性を周知することに努めています。2024年5月に公表したNEW VISIONにおいても、その方針を引き継いでいます。

みどりの食料システム戦略

農林水産省は、2021年に「みどりの食料システム戦略」を策定しました。「みどりの食料システム戦略」は、将来にわたって食料の安定供給を図るために、環境に配慮しながら、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現しようというものです。作物保護産業がこれまで取り組んできた活動方針、すなわちより高性能でより安全な農薬を創出していくという姿勢に合致するものであり、本戦略は中長期的な取り組みが必要と考え、当会の取り組みについて公表しています。

国内の2000年から2019年の20年間を見ても、耕地面積が9%、農作物の延べ作付面積が11%減少する中、当会の試算では、農薬の有効成分出荷数量は29%低減しています。有効成分出荷数量の減少が延べ作付面積の減少を上回っているのは、単位面積当たりの有効成分投下量が少ない新規農薬への置き換わりが進んでいることと推察しています。
当会としては、より高性能な新規農薬により、使用される有効成分量の低減、薬剤施用方法のイノベーション、さらには総合的病害虫管理(IPM)およびスマート農業に使用できる生物農薬や作物保護資材などのソリューション技術の開発を支援していきます。

ビジョン(2024年公表)

2024年5月にクロップライフジャパンはNEW VISIONを公表しました。

  • 1. 日本と世界の食料安全保障、持続可能な農業に貢献します
  • 2. 環境にやさしいイノベーションを推進します
  • 3. 安全の先にある安心な食生活を楽しめる社会を目指します